1.概要
ネットワーク上にあるファイルサーバのデータを削除すると、ゴミ箱に入ることなく消えてしまう。通常のパソコン上のデータであれば、一旦ゴミ箱にはいるのだが、ネットワーク上のサーバにある共有フォルダ内のファイルを削除した場合は完全に消滅してしまうのである。
これを回避するためにサーバではArcServeなどのサードバーティー製品を用いてサーバ丸ごとバックアップを取るのだが、WindowsServer標準で搭載しているシャドウコピーを設定しておくと即座に消してしまったデータをある時点まで復活させることができる。またバックアップのタイミングにもよるが更新してしまったデータを更新前のデータに戻すこともできる。この機能はサーバで簡単に設定できるが、普通のクライアント側のパソコンでも設定出来ないことはない。これについてはまた次の機会に説明する。
2.確認
データを消しても元に戻せる機能があるかないかは、そのサーバの共有フォルダのプロパティを見ればわかる。
例えば下の図の「個人フォルダC」にデータを消しても元に戻せる機能があるかどうかを見るには、右クリックしてプロパティを開いてみる。
ここで「以前のバージョン」というタブを押してみる。そもそもそのタブが無い場合はデータを消しても元に戻せる機能は無い。
「以前のバージョン」があっても、それをクリックしたら「利用可能な以前のバージョンはありません」と表示されたら、やはりこの場合もデータを消しても元に戻すことはできない。
3.設定方法
ネットワーク上にあるファイルサーバのデータを削除しても元に戻せる機能を追加するには以下のようにする。
今回のOSは Windows Server 2022 Standard を例とする。
まずはサーバにログインし、ファイルサーバの共有フォルダのあるドライブを右クリックして「プロパティ」を開く。今回はDドライブの中に共有フォルダが作られているのでDドライブを右クリックすることになる。
下のような画面が出るので「以前のバージョン」のタブをクリックする。
ここに下のような感じでボリュームDが決まった時間に更新されている表示になっている場合は、既に設定がされている。逆に先程のように「利用可能な以前のバージョンはありません」と表示されれば設定されていないか設定されていてもその設定が有効になっていない。
「シャドウコピー」のタブを開くと下のように表示される。これは「有効」になっている例である。このようになっておればよい。
さらに細かい設定をするために「設定」をクリックする。
下のような画面が表示され、最大サイズが設定できる。大体ディスクの10%程度がよいだろう。「OK」で設定される。
再度Dドライブまで戻ってDドライブを右クリックして「シャドウコピーの構成」をクリックする。
「設定」をクリックします。
「最大サイズ」が正しく設定されているかここでも確認ができる。
「スケジュール」をクリックする。
今回は下のような設定になっている。月曜から金曜の7:00にシャドウコピーを取る。
さらに同じように12:00にもシャドウコピーが設定されている。「OK」後さらに「OK」し「有効」がONになっているか確認をする。この有効を忘れがちである。
これでシャドウコピーが設定される。丸1日経ってから共有フォルダを右クリックしてプロパティで、以前のバージョンが見えて、過去データが取得できるようになる。
4.「以前のバージョン」の使い方
選択した過去のフォルダをクリックして「開く」をクリックすると過去の状態を見ることができる。
それをコピーペーストして取り出せば良い。
「復元」すると過去データに復元されて上書きされてしまうので注意を要する。