以前中高一貫向けの進学塾の説明会で「親は泥水をすすってでも、子供に教育をしなければいけない」という話を聞いた。その時はすごいことを言うなあと思っていたが、段々歳を取るとその重要性がわかるようになる。
先日知り合いの子供の関係で中高一貫校を訪問することになった。中高一貫の進学校なので、各小学校の学年トップクラスが集まってくる。昨年の入試問題を見たが、結構難解でしかも短い時間で解かなければならず、大人でも勉強していないと合格は難しいレベルである。
公立の場合高校入試という不公正な関門を通らなければならないが、中高一貫ではそれがない。その分、12歳から18歳までの多感な時期を、伸び伸びと過ごすことができる。さすがにハイレベルな生徒の集まりなので、生徒の顔つきも公立とは違い、みな大人の顔をしている。富裕層の子が多いのでかわいい子が多く、そして伸び伸びと楽しそうに活発に活動している。
支配者層(このブログでよく使う労働者層に対比する人々の総称で経営者、資産家、上級公務員などをさす)の人々は子供を中高一貫校に入れたり、小学校から私立に入れるのは、環境が子供を作ることをよく理解しているからである。中高一貫校でもレベルの低い学校にしか行けなかったとしても、ある程度名の知れた大学までは推薦で行けたりするので、最低限のレベルは保証されることになる。もしその子が公立から同じ大学に普通に受験して行こうとすると、難しいかあるいは相当苦労しなければならないことになる。
最近は親を面接して、その家柄や仕事内容、役職で、合否を決める学校もある。親を面接するような学校は成績がそれほどよくなくても、親が支配者層であれば合格できることがある。つまりは縁故や支配者層のご子息を合格させるために、面接で合格点を上乗せし、合格基準を曖昧にしているのである。だから親を面接する学校や、願書に親の職業や役職、会社名を書かせるような学校は、そのような不公平が行われている可能性が高い。学校からしてみれば、学校にふさわしい身分の生徒を受け入れたいだけで、何も成績順に生徒を入れる必要はなく、不正をしているわけではない。
私は労働者層という下層階級の立場なので、そういうのは許せないのだが、どうしようもない。学校側の立場から考えれば所詮ビジネスなので、寄付金を少しでも多く取れそうな親の生徒を確保したいであろう。プールや体育館を寄付してもらえるかもしれない。またそういう生徒は親の力で、いい会社に入れる可能性が高いので、大学の推薦にも送りやすいし、将来も期待できる。私立学校は半分以上の経費を寄付金や補助金で賄っているので、仕方ないかも知れない。
労働者層の子供が中高一貫校を目指すのであれば、親はそういったことも考えて学校選びをしなければならない。中高一貫校に行くメリットは先ほども書いたが、公立のように不特定多数の生徒が行く場所ではないので、環境がよく、いじめも殆どない。先生もハイレベルだし、設備もかなり充実している。普通交わることが無い富裕層の友達ができる。大学受験は学校によるが公立よりも1年程度前倒しで授業が進むので有利になる。部活や学園祭、体育祭も楽しく、遠足、社会科研修、修学旅行のレベルも高い。レベルの高い大学からの推薦も多い。そういったことから充実した青春時代を送ることが期待できるのである。受験して中学に入らなければいけないので、小学校4年か5年位から普通の児童とは違い相当勉強するので、小学校では直ぐに学年トップクラスになる。毎回テストで満点が取れるようになり通知表も◎が多くなる。頭の回転が速くなり、何かの漫画に描いてあったが、子供にターボエンジンを付けたような感じになる。あとはおまけだが、入学後は制服もカッコよく、周りにもマウントが取れ、二度と取れない高いステータスが得られる。就職するときは履歴書にドヤと書ける。
一方デメリットもある。まず、授業料が高い。高校から奨学金を借りることができるが、奨学金を借りて中高一貫校に通う生徒は学年に数人程度しかいない。その他に制服など学校指定のものになり、それが結構高く、遠足や研修などの費用も高い。中高一貫に行ったからといって、塾に行かなくてもいいというわけではないので、その費用も別途かかる。公立のように自宅から歩いて通えるわけではないので、交通費もかかる。自分の経験から込々で月に12万~13万円位だったか。学校にもよると思うが、費用は私立の大学の授業料ぐらいは見ておいたほうがいいだろう。それが6年間続くのである。
労働者層の子供が中高一貫校に通わせるのは、人それぞれ考え方が違うので、何とも言えないが、自分は普通の労働者層の人間なので、タイトル通り、泥水をすすりながらお金の苦労はしたが、子供を中高一貫校に通わせた。二度と取れないステータスを得て、子供もよかったと満足しており、トータルでそのメリットは大きかったような気がする。