1.不具合の現象
エクセルを編集後、保存すると、全然別のエクセルに上書きされてしまうという現象をたまに聞く。
例えば、「見積書.xlsx」を編集後、保存すると、全然関係ない「売上一覧.xlsx」に上書きされてしまうというのだ。「売上一覧.xlsx」を開くと、「見積書.xlsx」のデータに変わっており、「売上一覧.xlsx」は「見積書.xlsx」になってしまうので、無くなっている。
2.現象が発生しやすいタイプ
この現象は特定の人に起こりやすい。操作方法に何らかの問題があるものと思われる。
複数のエクセルファイルを大量に開いていたり、保存の操作方法が他の人と違っていたり、パソコンを使い慣れていないか、使えるが家電やスマホ感覚で使うような感覚で、仕組みをよく理解していない人が多い。
3.応急措置
まずは、オペレータのミスとは言え、データを復旧させなくてはならない。上の例で示した「売上一覧.xlsx」が「見積書.xlsx」になった例の場合、「売上一覧.xlsx」をバックアップしておく。これが「見積書.xlsx」の最新データだからだ。「売上一覧(見積書になってしまった).xlsx」というようにファイル名を変えたほうがいい。
次にそのフォルダで右クリックし「プロパティ」開く。そして「以前のバージョン」タブを開く。ここに正常に入っていたころのフォルダを選択し、「開く」を押す。そこからデータが差し変わる前のデータをコピーして元の場所に戻す。
「以前のバージョン」に何も入っていない場合は、そのパソコンあるいはサーバに「シャドウコピー」の設定がされていない。シャドウコピーは標準では設定されていないので、パソコンを使う人が設定していなければ設定されていない。
そういった場合は、別にバックアップがしてあればいいが、されていない場合はもう元に戻すことはできないのであきらめるしかない。
4.原因
このような現象は操作方法に起因するものなので、原因の特定は複雑で難しい。
操作手順を全て背後からビデオで撮影するか「SKYSEA」などの操作ログを記録撮影するようなシステムを導入するしかない。
例えば、以下のような操作が考えられる。
あるフォルダには「売上一覧.xlsx」と「見積書.xlsx」が入っているとする。
「見積書.xlsx」を開いて作業をする。
「ファイル」タブをクリック。
「名前をつけて保存」をクリック。
「現在のフォルダー」をダブルクリック ← ここが間違っている本当はシングルクリックするところ。
本当はシングルクリックでいいのにダブルクリックしている。
ダブルクリックの操作が遅く、シングルクリックが2回になってしまう。
ゆっくり操作すると、1回目のクリックで現在のフォルダーが開き、
次のクリックで「売上一覧.xlsx」が選択されてしまっている。
「保存」を押すと
そのまま「はい」を押すと、見事、「売上一覧.xlsx」が消えて、「見積書.xlsx」に挿し変わってしまっている。
他にも様々な操作でこのような問題が発生する可能性があり、その種類は無数にあるので本人に気を付けてもらうしかない。何度言っても同じことを繰り返す人は、そのうち重大なデータを消してしまう恐れがあるので、最悪その人にはパソコンを使わせないようにすることをお勧めする。