東京大学は勉強すればだれでも入学できるというものではない。また一般の人はあまり知らないと思われるが、実はどんな田舎の国公立大学でも、医学部は東大並みに入学するのは難しいのである。そのためこれらの大学は、予備校で超難関校という扱いになっている。
このレベルの大学に入学するためには記憶力が重要になってくる。これは生まれつきというか親から受け継がれた遺伝子によるので、自分ではどうしようもないのだが、幼少のころから努力をすれば、ある程度は何とかなる。また既に中学生になってしまっていたとしても、上位10%に入っていれば可能性はある。それ以下でも絶対無理というわけでは無いが、それなりの覚悟が必要になる。医者や経営者の子供は3人以上いるケースが多いのは、経済的な豊かさと言うよりも、生まれてくる子供には、アタリハズレがあるというのを感覚的に知っているからである。そのため、親の子供に対する見極めが重要になってくる。よく漫画やドラマで偏差値30から有名大学に入ったとか、貧乏から這い上がって東大に入ったとかいう話があるが、実際のところはお受験の経験があるとか、中高一貫校に通っていたとか、個別の進学塾に通っていたとか、必ずそのような方向に導いてくれる環境があることが多い。そのことについて本人は絶対に言わない。さらに、このレベルの大学に入学するのには、親の経済力も必要になってくる。本人一人の努力次第で何とかなるというような世界ではないのである。
基本的な流れは、生まれてから幼稚園小学校3年生までは、公文式などで計算や漢字、英語などを詰め込んでおく。そして、勉強の習慣というのを生活の一部として身につけさせていく。多感な時期なので、勉強だけではなくスイミングなどのスポーツ、ピアノ等の楽器、バレエやダンスなどもやり、様々な経験を積ませる必要がある。できれば英語圏に1年でもいいので留学できればよい。そんな小さなころから色々やらせてはかわいそうだという親が一般的かもしれないが、意外と子供は柔軟性があり、それ程苦とも思っていない。むしろ親が子供に教育をさせないほうが、かわいそうである。ただし、親が子供に無理矢理やらせるのではなく、必ず本人からやりたいと言ってやらせないと長続きしないので、幼少期からのそういう方向にもっていくのが親の務めとなる。
小学校4年生から遅くとも5年生からは、私立中学受験の勉強をするために私立中学受験の塾に通う。地元の有名中学に多くの合格者を出している塾に行けばいいが、本人との相性があるので、体験授業や説明会で確認するとよい。また6年生で志望校の過去問や対策をしてもらえる塾を選ぶことは重要である。個別指導の塾の方が細かく面倒を見てもらえるが、月謝はどうしても高くなる。公立中学ではダメなのかと思われるかもしれないが、公立中学では効率が悪く様々なリスクが伴うためである。例えば公立中学は既に上位層は私立中学に行って抜けているし、オール1の生徒や問題を起こす生徒と一緒に学校生活をしなければならないので、思わぬ道に逸れてしまったり、目を付けられていじめにあったりすることがある。今の学校は親世代の通っていたころの昔の学校とは全然違うのである。さらに公立中学の場合、高校受験をしなければならない。高校受験は多くの学校が内申書と入学試験で合否が決められる。内申書というのは中学の通知表の合計点である。実はこの内申書と言うのは先生によって何とでも調整することができるのだ。住んでいる地域にもよるが、学校や当たった教師によって大きく左右され、行きたい進学校に通えなくなり、その後苦労する生徒も多い。うまくこの辺を乗り切り、進学校の高校に通えればそれでもいいのだが、リスクが伴うので注意したいところだ。
話は戻って中学受験、いわるゆる「お受験」だが、これは独学ではダメなのかと言う人もいるが、実際のところ独学で中学受験したというのは聞いたことがない。もちろん私立中学もピンキリなので、出来れば地元でも最上位の中学を目指さなければならない。2番、3番の学校だと周りの環境に流されて、超難関校に入れる確率は低くなってしまうからだ。上位の私立中学の入試問題を見ればわかるが、大人でも解けないような問題が多数出題される。そのような学校は各小学校の学年トップレベルの児童が競うわけだから、普通の問題は全員解けてしまうので、難問奇問で差をつけざるを得ない。
もし、独学で親が子供に教えるのであれば、親もそれなりのレベルでないといけない。中学でもやらないような鶴亀算や連立方程式を小学校の指導要領の範囲で解いたり、小学校でやっている勉強では全然不十分なので、四谷大塚などのテキストや問題を入手し、勉強する必要がある。目標となる中学の過去問は20年分ぐらい入手して研究し、朝日新聞や学校のある地域の新聞を取って、時事問題の対策もしなければならない。自分の住んでいるところと学校のある都市が異なる場合は、学校のある地域の地理歴史も勉強しておく必要がある。親が教えると子供に甘えが出て、うまく勉強が進まないこともある。それにかなりの労力になるので、プロに頼んだ方がよい。
お受験の勉強をすると小学校の授業は退屈になってくる。普通の小学生はほとんど勉強をしないので、その差は歴然である。小学生の頭にターボエンジンを付けたような状態になるので、テストは殆ど100点になる。そのため、子供は授業が退屈過ぎて、授業中遊んだり授業態度が悪くなったり生意気になったりして、100点なのに悪い評価がついたりすることがある。できれば小学校6年生の担任には、早くからどこどこの中学を目指していることを伝えた方がよい。小学校の内申書は受験する中学に提出しなければならないところが多いので、少しでも有利に評価をつけてもらうためである。よっぽど悪い授業態度でなければ、オール◎に近い評価にしてもらえるだろう。
私立中学を選ぶ場合、親の面接があったり親の職業を願書に書かなければならない学校もある。そのような学校は寄付金を期待している学校である可能性があり、親が会社経営者とか富裕層ならいいがサラリーマンの場合、成績がよっぽど優秀でないと入学できない場合がある。そのような学校は富裕層の親が子供に受験で苦労させたくなくて、比較的偏差値が低くても大学まで自動的に入れるエスカレーター式のところが多い。私立中学は中高一貫のところが多く、中学3年の途中から高校の勉強を行い、高校2年で全ての勉強を終える。これは学校のレベルによって異なるが、大体そんな感じである。高校3年は当然受験勉強に集中することになる。中学を決める前にオープンスクールなどで、高校までのカリキュラムを確認した方がいい。
さて、無事に超難関校進学率の高い私立中高一貫校に入学出来た後、ここで気を付けなければならないのは燃え尽き症候群になってしまう生徒が少なからずいることだ。勉強の習慣を崩さないように気を付けなければならない。私立中学に入学すると、当然各小学校の学年トップクラスの生徒が集まっているので、その中での競争となる。特に最初に行われる試験での順位がそのまま6年間続くケースが多い。そのため最初の試験の順位と言うのが極めて重要になる。中学受験では英語が無いので英語で結構差がついてしまう。富裕層の生徒が多く、帰国子女や留学経験があったり、親の仕事の関係で海外に頻繁に行くような生徒も多いので、英語には気を付けたいところだ。そのため、最初にも書いたが、小学生までに英語や留学の経験があったほうがいいのだ。それと、私立中学に入ったら塾は辞めることになるが、今度は大学受験に向けての塾に入る必要がある。進学校だからといって、熱心に大学受験の対策をしている中高一貫校は、意外と少ないので気を付けなければならない。中学1年で自分で勉強できる生徒はいいが、なかなかそういう生徒はいないので、中3位までは中高一貫校の生徒がよく通う塾に行った方がいい。公立中学の高校受験向けの塾とは別に、そういった塾が学校の近くにあるはずだ。
医学部を目指すのであれば、国公立は超難関になるので、落ちた場合私立医学部も意識しなければならない。しかし、私立医学部は学費がものすごく高く卒業までに4,000万とも5,000万ともいわれている。医学部に入学できても、途中で学費が払えなくなって中退せざるを得なくなるのは、非常に悲しいことだ。サラリーマンの子供は何が何でも国公立を目指すしかない。富裕層の子供でも私立医学部に合格できるかはわからないので、高校に来ている学校推薦を狙うことになる。この学校推薦を獲得するには学校の父母会などに積極的に参加し、先生のお気に入りにならなければならない。さらに寄付金を他の人よりも多く納める必要がある。私立医学部の推進を得るためには生徒の学力もある程度無いといけないが、親の経済力が物を言うのである。大学側も優秀な生徒と寄付金を期待しているし、それによってその高校に来年何人の推薦枠を与えるのかが決まるので、高校側もなるべく優秀で家庭に財力のある生徒を送ったほうがメリットが高いためである。何とも嫌な話ではあるが、これが現実である。
高校生になったら、早くから大学受験を意識する必要がある。私立中高一貫校は自分と同レベルの生徒が集まっているので、楽しく通う生徒が多い。部活も楽しいし、行事も多くて、圧倒的に公立高校よりも充実した学生生活を送ることができる場合が多い。ただ楽しいがゆえに勉強がおろそかになる可能性もある。部活を辞める必要はないが、メリハリをつけて勉強もしなければならない。塾も大学受験に特化したところに通ったほうがいいが、このころになると、塾に通うよりも自分で勉強した方が効率が良くなる生徒も多いので、人それぞれである。注意しなければならないのは、塾に煽られて、講座を取りすぎたりしないように注意することだ。塾も商売だから、無駄な授業を多く勧めようとする。自分で勉強できるようになったら、塾は受けたい授業を最小限に取って、情報収集と模試で現在の実力を把握するために利用する。
東大や国公立医学部のような超難関校を目指すには大学入学共通テスト(旧センター試験、旧共通一次試験)で9割を取る必要がある。9割というのは、ほぼ満点が取れるような実力が無くてはならない。微妙なところで間違える程度で、科目によっては満点を取るようなレベルである。一通り勉強を終えたら、試験前に共通一次、センター試験の過去問を何周か行う。と言うか、このレベルの学生だとセンター試験の勉強はしない人もいる。それよりも2次試験の方が配点の割合が大きいので、その勉強をしたほうがいいと考えるからだ。一応落ちたことも考えて私立大学の勉強もしたほうがよい。医学部の場合は先ほども書いたが親の財力が全てである。親がサラリーマンであれば、国公立一択になる。奨学金満額12万円を受け取っても、払えるような金額ではないからだ。それと面接だが、2浪までなら何とかなるが、多浪や女子は面接で落とされやすい印象がある。事前に男女の比率や何浪の学生までいるのか、説明会やオープンスクールなどで直接聞いた方がよい。面接は大学にもよるが、0点か満点のどちらかという医学部もあるから、成績がいくら良くても面接でフリーズしたら終わりである。事前に面接の練習も塾などで対策しておく必要がある。
超難関大学(東大、国公立医学部)を目指す場合によく使われる参考書や勉強のスケジュールなど今後掲載していく予定である。